〇新工房ーメイキングー making new workshop
1 紙屋 before
かつて紙漉きが行われていた部屋、紙屋(かみや)。
ここを改装して、「みの紙工房F」が立ち上がります!
リフォームされていた床をはがしたら、
紙漉きされていた痕跡が残っていました。
ひしがたの筋が入ったコンクリの場所は、紙を漉く時の足場。
私もここに立って紙を漉きます。
2 紙漉き舟
紙漉き舟を新調します。
作っていただくのは、あの方、舟大工の那須清一さんです。
岐阜といえばアユ、鵜飼い舟を作られるベテラン職人です。
頑固そう?いえいえ、私がお邪魔する度に、とんちのきいたおしゃべりで、
愉快に笑かしてくださいます。
水に強いマキの木
舟の底部分
部屋中、木の香り。徐々に形が見えてきて、
ついに舟が出来上がり、運び出しの日。
ここからステンレス屋さんへ。
美しい木ですが、経年劣化して木のクズが紙料に入らないように、
紙漉き舟の内側に、ステンレスを貼ります。
内側にステンレスを貼るなら、外側はどんなものでもいいんじゃないか、と
言われますが、紙漉きにとって大事な設備。家のようなもの。一生ものです。
ヒノキの自然木で、
どことなく女性らしい形。
表面を磨いて下さっています。
文字を書き入れているところ。
息を止めて書くので、苦しい、とおっしゃっていました。
大きく立派な看板です。看板倒れにならんよう、がんばらなあかんばん。
4.照明、漉き舟設置
紙屋(かみや、紙漉き作業の部屋)に照明が入りました。
部屋が暗かったのですが、これで大丈夫。
漉き舟の設置です。
床が、水はけをよくするために部屋の一隅に向かってかなり傾斜しています。
そこで、水準器でレーザー照射しながらの設置というプロの技登場です。
水平にした後、舟の中にたまった水が左奥の排水口へ
集まるよう微調整してくださいました。
確認には、ガムテープ本体を右手前から転がしてみて・・・
コロコロゆっくりと・・・
ビリヤードみたいに見事に穴へ到着しました。拍手!
5.さらし場
和紙原料を水浸けして、日光で白くさらすための水槽です。
息の合ったご夫妻の掛け合いで、仕事が早い。
どんどん形が見えてくる。
上塗りの防水セメントを調合しているところ。
手際がいい。
水が入ると、何だか気持ちいい。
6.天井
紙屋の天井です。
歳月を経て、すき間ができています。
このままでは、上からホコリが降ってくる。
丹念にちりとりをしても、意味がなくなってしまいます。
そこで・・・
天井裏からホコリを吸い取る作戦です。
大工さんが2階の床に穴をあけ(紙漉き部屋は1階)、
掃除機で長年積もったほこりを吸い取っています。
天井を雑巾で拭いた後、
板の継ぎ目に紙を貼っています。
人の手によって、どんどん補修されていきます。
7.馬鍬(まぐわ)
馬鍬(まぐわ)とは、紙漉き舟に入れた原料を効率よくかき混ぜる道具です。
使い始めるにあたり、きれいに水洗いしました。
これは紙漉き舟のサイズに合わせて作られています。
棒には竹が使われ、差し込み穴に入るように削って、
はめ込んでくださいました。
道具を洗うとき、細部を見ることになり、気づくんです。
また、釘は一本も使われておりません。
8.自動まぐわ機 攪兵衛(かくべえ)
漉き舟の中に、原料、水、ネリを入れて攪拌(かくはん)する道具、
前記の「まぐわ」ですが、これを動かすのは重労働なんです。
そこで、初めてこの機械を導入しました。
まぐわに棒を引っ掛けて、スイッチオンで動きます。
これで、作業が少し楽になります。