〇大滝文庫の和紙本について washi book
大滝文庫とは
大滝國義(おおたきくによし 1947~2017)氏の集めた本です。
大滝氏は、美濃に生まれ、家業の和紙商を受け継ぐ傍ら、和紙・紙に関する様々な本を収集しました。
和紙を愛し、学び、和紙を広める活動や、和紙作品の制作も行っていました。
探し求めた本は、3,500冊にも及び、和紙にかけた並々ならぬ情熱が感じられます。
この大滝氏の本が、「美濃和紙の里会館」(岐阜県美濃市)に寄贈され、
美濃和紙の里会館の図書室で、閲覧可能です。
毎月最終日曜日、美濃和紙の里会館に予約されますと、閲覧可能です。
詳しくは美濃和紙の里会館にご連絡ください。
0575-34-8111
寄贈本の一部をご覧くださいませ。
『新撰紙鑑』 木村青竹 編 1777年
和紙文献の代表的古典。各地の名称、寸法、取引の単位等が記されている。各地に、かつてどのような紙があり、取引されていたのかを知ることができる。
『古今和紙譜』関義城 著 昭和29年
奈良朝時代から昭和に至る和紙の実物354種が貼り込まれた本。和紙の年代、原料、紙名の解説が付け加えられており、昔の紙を間近に見られる貴重書。
『和紙の美』 柳宗悦 著 昭和18年
(大滝氏の解説→)本文用紙、添付されている見本紙、装丁、どれをとっても惚れ惚れする贅沢な本。そして、格調高く、胸に響く文。私にとってあこがれの本。
『四季萬象 千代紙紋様百趣』 吉本嘉門 編 昭和47年
江戸末期から昭和にかけての千代紙集。和紙に摺られた華麗で粋な紋様は味わいがあり、眺めているだけで楽しい。
『キンダーブック観察絵本「カミ」』 日本玩具研究会 編 昭和8年
おりがみ、提灯、傘、障子貼りなど紙にまつわることが、楽しいカラーの絵で描かれている。各ページ画家が違うのも見どころ。
『紙漉村旅日記』 壽岳文章・静子 著 昭和18年
昭和12~15年にかけて、夫妻が全国の紙産地を旅した記録日記。各地の和紙、著者撮影の写真が添付され、当時の産地を知るのに最適の書。
『工芸』 柳宗悦 寿岳文章 他著 昭和8~22年
民芸普及のための雑誌。紙すき場の写真、和紙見本なども見ることができるが、柳宗悦らによる文章が熱い。
『和紙を造る人達 宮城柳生 埼玉小川 都下軍道』 芹沢銈介 作 昭和25年
著者は染色工芸家で、型絵染の人間国宝。紙すきの工程を情緒豊かな絵で、紹介した型染絵本。
『日本の紙 西日本』後藤清吉郎 著 昭和35年
紙漉村を旅した絵日記を著したもの。紙漉きも行う著者の型絵染は、漉き場、道具などに細やかな視線が注がれている。
取材やスケッチが丹念におこなわれており、絵がとても美しい。
『日本の紙 東日本』 後藤清吉郎 著 昭和33年
『和紙印伝』後藤清吉郎 著 昭和32年
印伝の手法を和紙に行ったもの。模様を彫った型紙を和紙の上に置き、うるしをのせると模様がもりあがる。和紙に新しい美を加えた。
以上 まだまだほんの一部です。
和紙本の何とも言えぬ質感に惚れ惚れします。
この他、和紙産地の資料、和紙加工、原料、和紙の歴史、絵本、小説、外国の手すき紙など、
じっくり読みたい本がいっぱいです。